2016年の11月にデビューした、日産ノートe-powerの解説サイトです。
2016年11月9日 新規デビュー
遠出も可能な電気自動車入門機
本格的なEV時代への橋渡し的役割を担う存在
もともと素直な手応えで好評を博していたが、あらためて異次元の走行 感覚を叫んで注目を集めているのが、2016年11月に追加された新バリエーションのe-パワー。エンジンも積んではいるが、走行のすべてを 電動で賄う新時代車。
同時に従来からのノート全車もフェイスリフトを受け、高級感を増した。 e-パワーは、日本の乗用車として初のシリーズHVであり、レンジエクステンダーEVでもある。前席下の部分だけ設計変更して積んだ リチウムイオン電池からフロントのモーターに電力を供給し、前輪を駆動する。
ただし、重量とコストの上昇を最小限にするためバッテリー容量が1・5kmh と小さいので、それだけではいくらも走れない。 そこで電位が下がると自動的にエンジンが掛かり、発電機を回して充電する・ ・・というより、実走行ではほとんど常にエンジンが働き、バッテリーを一時的な溜池としてモーターに電力を送る。
ただし、基本的に市街地など近距離走行が前提なので、エンジンと駆動輪が機械的に結ばれることはなく、 その点が三菱アウトランダーPHEVやホンダ・アコードHV(60〜70km/h以上ではエンジンが駆動輪と直結して走行をアシスト)と異なる。
走るフィーリングは、もちろんEVそのもの。リーフと基本的に同じEM57型 モーター(最高出力109ps、最大トルク25・9kgm)は普通 の自然吸気2・5Lに匹敵するから、アクセルを踏むと同時に力強くフイッと 駆け出し、そのまま速度が伸びる。
エンジンの回転感に力んでいる様子はなく、 速度や踏み込み方とは直接関係せず、だいたい2000〜5000rpm の間で回るから、慣れるまでは少し違和感を抱くかもしれない。また、 ほとんど常にエンジン音が聞こえるので、EV走行から連想する無音感覚はないが、総合的な滑らかさは想像以上だ。
一方アクセル戻すと明確なエンジンブレーキ、いやモーターブレーキが 働くのもe-パワーの特徴。S/ECOモードでも効くがシフトがBレンジなら なおさらで、低速から大きく戻すとほとんど停止状態まで減速することもある。
これをうまく使うと頻繁にブレーキペタルを踏まずにすみ、摩耗粉も減る から、その点でも環境に優しい。これらの特質を利かしたJC08モード燃費は、 グレードにより34・0〜37・2km/L。
ガソリンエンジン車の18・2〜26・2km/Lと比べると、これだけでも 数十万円の価値差を補って余りある。ただしe-パワーにはガソリンエンジン車のような4WDの用意はない。
ガソリンエンジン車が3気筒1・2Lで、自然吸気が79ps、 スーパーチャージ付きが98psなのに対し、eーパワー用は同じエンジンを基本としてミラーサイクルなど低燃費対策を施して79ps。
それにより3600〜5200rpmという広い回転域で10・5kgmの最大トルクを 生み続け、発電に専念するようにしつけられている。つまりノートeーパワーは、外部から充電する必要がなく、次の給油まで実用面で800km程度は走れるEVというわけだ。
やがて訪れるかもしれない全面電動化の時代へのわかりやすい橋渡しと言える日産ノートeーパワー。 これに4WD仕様が加われば鬼に金棒だ。